薬を飲む男性と悩む男性
薬を飲んでいる男性

エイズとHIVは混同されることが多いのですが、正確には2つの名称は異なったものです。エイズとは病気の名称であり、HIVはエイズを引き起こす原因となるウイルスの名称です。そのためHIVに感染したからと言ってすぐにエイズになるわけではありません。現代医学ではしっかりとウイルスをコントロールすることができれば、感染しても寿命を全うすることができるくらい治療技術も進歩しています。病気に対する知識、理解を深め、感染しないように注意したり、正しい対処法を知ることが非常に大切です。

HIV(ヒト免疫不全ウイルス)は日常、普通に生活していれば感染するリスクは極めて低いウイルスです。感染率も高くなく、空気感染や肌と肌のふれあいによる接触感染を起こすことはありません。感染経路の大部分は、すでに感染している人との性交渉や血液感染です。注射器の使いまわしが原因で感染することもありますが、医療機関においては管理が徹底されているため、日本国内では少数の事例となります。危険な行為があったからと言って必ず感染するわけではありませんが、そのときの体調や行為の危険度によって感染率が変わってきます。

性交渉による感染経路のうち、最も多いのが男性同士の性交渉と言われています。それは肛門を使った性交渉には出血するリスクが高く、他人の血液と粘膜が触れるリスクが高いからです。男女間の性交渉でも感染はしますので、お互いに検査をして感染していないことを確認したり、避妊具を正しく利用して相手の粘膜や精液、血液に触れないようにしなくてはなりません。HIVウイルスは非常に感染率が低いため、キスをして唾液に触れたからと言って感染することはありません。ただし口内に傷があり出血していると危険性が高まります。

ヒト免疫不全ウイルスの厄介な点が、長期間症状が現れないところにあります。しかし、ウイルスがいれば確実に体内の免疫システムは破壊されていきます。症状が現れない期間中に他人と性的な関係を持つと、知らない間に人に感染させてしまうことがあり、感染拡大の原因にもなっています。感染したまま日常生活を続けることもできますが、確実に免疫不全に向かって進行していきますので、何かしらの症状が出てからでは発見が遅れてしまうこともあるため、定期的に検査を受けることが大切です。

普段私たちが生活している家庭や職場、外には様々なウイルスや細菌が浮遊していますが、免疫力があればこうしたウイルスや細菌が人体に影響を与えることはありません。免疫の中の代表的なものがCD4陽性リンパ球です。ヒト免疫不全ウイルスはこのCD4陽性リンパ球に感染し、免疫機能を失わせていきます。免疫力が著しく低下すると、通常感染することがない空気中のウイルスや細菌が体内で増殖するようになります。エイズを診断する指標疾患として23疾患が登録されており、これらのいずれかを発症することでエイズが発症したと判断されます。23疾患に感染しても発症後直ちに死んでしまうわけではなく、治療が成功すればその後日常生活に戻ることができるケースもあります。しかし中には命にかかわってくる疾病もあるため、発症後の早期対応がその後の寿命を大きく左右します。

一度免疫不全になってしまうと、破壊された免疫力が健康だったころまで戻ることはなく、病気にかかりやすい体になってしまうため、早期発見をしてエイズ発症となる前に、ウイルスをコントロールしていくことが大切なのです。HIVは免疫細胞に感染し、免疫不全を引き起こす原因となりますが、23疾患を引き起こすまではエイズとして診断されません。日常的に投薬コントロールをすれば今まで通りの生活を営むことができるくらい、医療は進んでいます。